看護学生に頼まれて

看護学生の図書委員から「昨年度の社会学の授業に感銘を受けました。この度、「図書室たより」を担当することになり、ぜひ先生の推薦図書を掲載したいと考えています。看護学生、青年期の皆に読んでほしい本を…」と手書きの依頼文書を受け取りました!

せっかくだから

はてなブログを利用して推薦図書をアップしてみますね。最初は社会学を意識した本ですが、あとは領域横断的な本です。彼らにピッタリと思っています。

 

イラストでキーワードを理解するのに最適な本です!プロテスタンティズム・ラベリング・スティグマなどなどイラストでスーと理解できます。

 

人類学的な視点、近代医療をのりこえるための理論がいっぱい詰まっています。理論書なのにイラストも「要約」もコンパクトです。

 

フローレンス・ナイチンゲール(1820−1910)が生き、活躍した時代のイギリスは、ジェントルマンと労働者という二つの階級に明確に分かれた二つの国民がいた社会でした。

現在の日本社会も新自由主義ネオリベラリズム)が政治経済の面で主流になり、貧富の格差が凄まじい勢いで進んでおり、急速にヴィクトリア朝的な階級社会へ移行している状態です。
現代においても、あるいは新自由主義が席巻する現代においてこそ、ナイチンゲールの偉業に耳を傾ける必要があるのだと思います。

 

この本でヒトラーの子ども時代を知ることが、現代社会に問われていることだと思います。

 

「その島」とは、沖縄のシマ社会のことかと思い、勘違いしながら読みましたが、繋がるものがありました。地域医療を考える方はぜひ!

 

「オープンダイアローグとは、1980年代からフィンランドの西ラップランドにあるケロプダス病院でおこなわれている家族療法の一種。患者やその家族から電話を受けると、24時間以内に治療チームを組んで訪問してミーティングをおこなう。場所は主に患者の自宅。

参加者は、患者本人とその家族、親戚、医師、看護師、心理士、現担当医など、患者にかかわる重要な人なら誰でもOK。治療チームのメンバーは、全員ケロプダス病院で3年間の家族療法のトレーニングを受けた専門家たち。そこでおこなわれるのは、まさに「開かれた対話」。輪になって座り、あらゆる発言が許容され、傾聴され、応答されることで会話をつなげていく。すべての参加者は平等で、専門家が指示して患者が従う、といった上下関係はつくらない。また患者本人がいないところでは何も決定しない。薬物治療や入院についても、本人を含む全員が出席したところで話し合う。対話の時間は長くても1時間半くらいで、無理に結論を出すことはない。危機が解消するまで、通常は10~12日間、毎日のようにおこなわれる。薬物治療や入院も、必要に応じておこなう柔軟さがあり、そういう意味でもオープンである。社会福祉が充実した北欧らしく、希望する人は誰でも無料でこの医療サービスが受けられる。…」(何から引用したのかが探せません。ごめんね)

今、その実践が日本でも始まっています。私は7・8年前に東京でのその関連のシンポジウムに参加して志ある人々の熱気を感じてきました!

おおっと思ったのは、オープンダイアローグはポストモダン思想だということ!

 

子どもの表情や感情の描き方がすごいのです!イクメンなんていう言葉が陳腐になります。じゃんぽーる西の本は皆お勧めです。

 

両親の離婚、目の前での母親の自死、養護施設、ホームレスを体験した女性歌人の歌集です。ちなみに彼女はミスiD(ミスアイディー、miss iD)に応募しています。ミスiDは、講談社が主催する、見た目やジャンル、ジェンダーロールに捉われず、新しい時代をサバイブする多様な女性のロールモデルを見つけるオーディション・プロジェクト。検索してみてください。

 

2000年12月、一家4人が殺害された「世田谷事件」は著者の妹家族です。悲しみの底にいる中での周囲の偏見の眼差しを受け、心ない報道を受けます。そんなどん底の中で、愛する家族を助けられなかった自責の思いを持ちながらも、そこから生きる意味をつかんでいっています。

 

この本の言葉のセンスは、社会的な問題と個人の心の傷は切り離すことはできないという実践の場から生み出されています。あなたのなかのインナーチャイルドに向き合うことが、他者のケアをする人には必要なのではと思っております。

 

ひきこもりの家族と暮らしている学生は少なくないですよね。「個人」の病理ではなく、家族・社会のシステムが構造的に生み出している病理として理解するというのが、私たちの社会には必要だと思っております。

 
「回復とは、被害者でも加害者でもなくなり、サバイバーでもなくなり、そういう一般的な名前ではくくれない『他者の誰とでもちがう、私でしかない私』」と著者は述べています。
「被害者であった赤ずきんと加害者であったけれど実は被害者であったオオカミとが、共に回復して対等に向かい合い協力し合って、新しい世界をつくっていく物語を書きたかったのです」とも著者は語っています。さらに、「家族が壊れたら新しい大きな家族ができます。新しい出会いを一歩一歩形にしていくこともできます」とも。
「新しい大きな家族」、これがこれらからの社会をイメージすることが大事なのではと思います。一緒に考えていける看護学生と出会う日を待っています。
 

拒食の果てに入院して、主人公ははじめてインナーチャイルドの暴走から解放されます。それは親友が彼女を自分たちの子どもとして育てようと決心するからです。

それから/あたし わかったの/福ちゃんが/あたしたちの/なんであるかって/ことが

あのこ/あたしたちの/子供なのよ

な…な…/なんだ!?/子供って!?

あの子の/頭の中では/あたしたち/両親なのよ

五歳児くらい/その辺で/ウロウロしてるの/福ちゃんって

や・やだよ/おれそんなの

だけど事実だわ/その上/飢餓状態なの/ハートがね

あたし/あの子を/育てる/つもりだわ

そ・そ・/そういうのって/おこがましいんじゃ/ないのか…/か・か・かりにも/同い年で/

もう高二だし

あなたの/言っていることが/わからないわ/あなたに/協力して/ほしいのよ

や・や・や

やだ?

やった/やった/やった/ことないけど

た・た/ためして/みる価値は/ありそうだな/…/ぼ・冒険っていうのかな

もう一度/よかった

う――

よーし/パパに/なったる

なったるで――っ

「あの子わたしたちの子供なのよ」

から…

「パパになったる なったるでー」

バーチャルな家族を同年齢でも構築することが可能であることを示してくれるなんてね、ありがたい。若者のほとんどが何しらのサバイバーである時代だからこそ、大島弓子の本をお薦めします。

 

「創られた日本人観」を打ち破ってくれます。

 

今はもうシニア世代の話。シニア世代の人々がこういう共感しあえる漫画をもてていたら「帰る場所」はあるのかもしれない。若者には渋い内容だが、世代間の分断をうまないためにお薦めします。

 

医療従事者としてのパンデミックの見方にこういう視点も入れてほしいなぁ。ウイルスの脅威を前にして、非常に脆弱なこの社会はなぜ?という問いを、です。

 

2012年12月 TEDxEustonでのトークを加筆した本です。フェミニズムジェンダー系の本では読みやすい本です。この本に登場するステレオタイプ思考の人々って、わたしたちの身近にたくさんいますよね。チママンダが定義するフェミニストは「男性であれ女性であれ『そう、ジェンダーについては今日だって問題があるよね、だから改善しなきゃね、もっと良くしなきゃ」という人だと。「女も男も、私たち『みんな』で良くしなければいけないのですから。」と。「分断」ではなく「仲間」づくりですね。

 

1978年生まれのスウェーデンの女性漫画家が描いています。男性の看護学生も女性の看護学生も、どっちでもなかったり、どちかにいったりきたりした看護学生も、笑い合いながら読んでー。笑えるあなたは権力に負けないでしょう。

 

病院の待合室にあるといい本です。まずはあなた自身が読んでみてね。